Chaos金太郎

移住10年目。新潟県柏崎の山間の集落を存続させるため活動中。

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柏崎が好きすぎて炎上!まちづくり対談

      2016/05/10

「あいさ」事務局長、水戸部智氏とのまちづくり対談です。

NPO法人柏崎まちづくりネット「あいさ」は中越沖地震からの復旧、復興のなかで様々に生まれてきた市民団体をサポートするNPO法人です。いわゆる中間支援組織です。市民団体、行政、学校、企業、いろいろな団体をつなぐことで、柏崎を元気な町にしようと活動しています。

柏崎の抱えている課題、原発廃炉後の産業、柏崎に生きる覚悟、若者の仕事作り、次世代を支える仕組み…様々な話題をガッツリ話しました!

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水戸部智氏。NPO法人柏崎まちづくりネット「あいさ」事務局長。大学生時代から柏崎のまちづくりに携わる。大学卒業後も柏崎のまちづくり最前線で奮闘。長野県出身。好きな飲み物はビァー。

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金太郎。「ひゃくいちねん会」代表。柏崎の山間の集落を100年後も存続させるべく活動中。農業、カフェ、神主など様々なことで集落と家族を存続させる。東京都出身。好きな飲み物はビァー。

対談のテーマ

ズバリ「炎上発言、二人ですれば怖くない」です!

柏崎が好きだから。このまちに大切なものがあるから。守りたい未来があるから。語らずにはいられない。柏崎のまちづくり最前線で戦う男との対談、それではいってみましょー!

DSC_0160(写真左:金太郎 写真右:水戸部智氏)

若者の力で寝ているヤツを起こす

金太郎:少し前の話になるんだけど、まちからオープンの時、パネルディスカッションのテーマが「若者の力でつくる未来を語り合う」だったじゃん。自分も若者の端くれとして、すごく楽しかったのだけど、なぜあの大舞台で若者を取り上げたの?

水戸部:それは、最近のテーマが「寝ているヤツを起こす」だからだね。

寝ているヤツってのは「柏崎市民」のことね。いま柏崎のまちは危機に瀕していると思う。まちの人口は減り続けている、柏崎刈羽原子力発電所(以降、原発)は廃炉に向かっている。このままいったら、「まちが終わる」という状況。にもかかわらず、ぬるま湯に浸かっている柏崎市民。そんな寝ているヤツを…

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金太郎:ちょちょちょ、待ってw 最初から飛ばすけど大丈夫?w もう炎上しちゃうけど、いい?

水戸部:いい!そんな寝ているヤツを叩き起こしたい。

そこで「若者」なんだ。若者はエネルギーがあって上り坂で、夢がある。若者が地域で新しいことを始めたり移住してきたりすると、地域が揺れる。新しいことがおきそうな気運が高まり、「このままでは地域が終わってしまう」と思っていた人たちの心境が変化して、希望の光が芽生える。

こういう変化が積み重なれば、ぬるま湯につかった地域とは違って、その地域は生き残っていけると思う。若者のチカラで地域にインパクトを与えて、寝ているヤツを起こしたいんだ。

原発のお金に頼る「ひもじいやり方」

金太郎:なんで柏崎市民はぬるま湯につかって寝てしまっているんだろう?

水戸部:原発のせいにはしたくないが、それも要因のひとつであると思う。

原発のお金があったときは市の財政も安定する。要は金がある。すると地域で課題が出たとき市民は役所に文句を言う。「困っているから金持ちの市役所さん、どうにかしてください」という具合に。だんだんと地域の課題や不平不満が集中して、役所に文句を言えば金で解決してくれると考えるようになる。

それってすごく「ひもじいやり方」だと思う。知恵をつかっていないからね。

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金太郎:自分で解決する気がないってことだ。市役所に言えばなんとかしてくれると思っているんだね。

水戸部:そう、人任せ。けど本来は「俺は金がねぇ、けどあそこの道路を直さなければいけない。じゃあ仲間の誰それが重機をいじれるし、あいつは砂利を持っているし…自分たちでなんとかしよう!」というのが、市民のあるべき姿。「みんなで解決しようぜ!」がクリエイティブ。

自力で解決しようとせず、考えることを放棄して文句ばっかり言うのは、毎日定時に餌をもらえるハムスターのようだ。自分はなにもしない、けど飯は食わせろ、カゴは清潔に保て、おもちゃが壊れたら交換しろ…。

金太郎:そんな人が大勢いるのだとしたら、確かに先行きが不安に思えるな。

「自分の信じることで負けるな、議論で勝て」

金太郎:テーマ通り、開幕からの炎上をありがとう!しかし、水戸部氏はなぜそんなにハッキリとものを言えるのでしょう?怒られたりしてもヘコたれないじゃん?

成功している人たちをたくさん見ているから、全然できていない人を見ると厳しいことを言うとか?もともとの性格もあるのかな?

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水戸部:いや、俺はもともとの性格はおとなしいよ。戦う姿勢になったのは、新潟工科大の田口先生のゼミに入って、中越沖地震のえんま通り商店街復興プロジェクトに携わってから。

プロジェクトに関わる中で、田口先生に教えられたのは「議論でねじ伏せろ」というパッション。

プロジェクトには俺らのような学部生と、早稲田大学の院生が参加していた。そういう年上の奴らにも、引けをとるなと言われた。自分が追い求めていること、信じていることで負けるな!と。

金太郎:そういや水戸部氏のよく使う単語に「パッション」があるな。そこに由来しているんだね。

水戸部:自分の信じることで負けないこと、バチバチ戦う中で生き抜いていく強さが大事だということ。それを田口先生は、生き様で教えてくれたんだよね。

存在意義をかけて戦う

水戸部:そして今度は震災復興に携わる大学生として、様々な地域に行くようになった。学生だから、地域の人を前にして控えめにしていれば良いかというと、それは正しくない。現場でイイ子にして大人しくしていては、そんなやついたかいないかわからない。

いかに自分の爪痕を残せるか?どうするか?と考えた時、牙を剥くしかねぇ!と思った。

矢島:存在意義を示すってことだね。

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水戸部:そうしないと生き残れなかった。

そしてさらにそれを加速させたのが、できたばかりの「中越沖復興支援ネットワーク」(沖ネット)を自分がどうにかしなければいけないという状況。

沖ネットで働き始めた当初はまだ20歳過ぎた頃で、どこの会議、現場に行っても「ぺーぺーが甘いこと言ってんじゃねぇ」とか「ガキが何言ってんだ」とか言われ、ボロ雑巾のように扱われる。

さっきの牙をむいた時と同じで、自分と沖ネットの存在を認識してもらう必要が生じて、そこでも戦う姿勢をとった。じゃなきゃ沖ネットも俺も無いのと変わり無い。20代前半は地域で水戸部と沖ネットを覚えてもらうために、死ぬ気で戦った。それでしか生きるすべがなかった。

金太郎:前から思ってたけど…。こうして改めて聞くと水戸部氏はすごいなぁ!壮絶だったんだ。尊敬する。けど、プライベートではかなりユルい感じだよね!?嫁さんと子どもといる時の水戸部氏は、すごくフワフワしてる!

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柏崎で生きていく覚悟

水戸部:子どもが生まれたことは俺にとって大きなことだったね。嫁さんと子どもがいて、この街で生きていくことを決めたから、街の今後は俺にとって自分事。骨を埋める覚悟だから、柏崎のことを真剣に考えている。このまちに大切なものがあるから、未来に責任を感じている。

以前は地域で頑張っている人を見ると「すごいエネルギーだ。なんなんだろう、あの人は」くらいに思ってたけど、今度は自分の番。

金太郎:おぉ、覚悟が決まりましたな!骨を埋める覚悟が決まると、全部受け入れて進もうって気になるよね。それって「柏崎が好き」ってことなんだと思う。

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田園回帰、移住はブームか?根底はかわらない

金太郎:俺がいま「ひゃくいちねん会」という、集落を存続するための団体を運営しているのは知っているよね。団体の目的は100年後も集落が存続していることなんだけど。

水戸部氏は100年後の世の中って、どうなっていると思う?あと最近では移住が取りざたされることが多いよね。地方創生とか田園回帰ともよく叫ばれている。この世の中の動き、どう見ている?

水戸部:リーマンショックや東日本大震災があって、人々の意識が変わったからいまの移住の機運があるのだと思う。経済はいつ破綻するかわからない、震災で生活が壊れる可能性もある。そんな中、人との結びつきが大事だと考える人が地方に目を向けるのは自然なこと。

けど俺はいまの移住の流れは「ブーム」だと思っているよ。長続きはしない。

金太郎:テレビでも移住の番組やってるね。まぁ、このブームはいずれ終わるでしょうな。ブームに頼ってやってたらやばいよね。

水戸部:うちらがブームで終わらせないようにしないと。さっき100年後の話が出たけど、「生身の人間としておもしろいこと」は残っている気がする。「人と人が支え合って生きていくこと」とかもそう。人間の根底に関わる部分というか。こういうことは100年後も残っていることだし、「人間の根底」がブームで終わらせないための頼みの綱だな。

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原発廃炉後の産業は小さい仕事を積み上げる

金太郎:水戸部氏はさ、これからの柏崎のまちづくりの方向性、どう考えてる?

水戸部:ズバリ「新しい仕事をたくさん作っていく」だね。ここでも出てくるんだけれども、原発の話が。原発の寿命は、一説には30年から40年と言われている。柏崎の場合、廃炉が平成40くらいか?当然、廃炉になれば仕事がなくなるからみんなは「やばいやばい」と言って、新しい産業を作ろうとする。

過去の日本は大きな穴を埋めるために、大きなものを持ってきていた。柏崎だったら、石油産業だったり、製造業だったり、原発だったり。

これからのご時世では、大きなものを持ってくることはできない。いまの日本に、でかい弾はもうない。そういうご時世じゃない。小さい仕事でもいいから、いかに地元で仕事を作れるか。外からのお金を地元に入れて、外に出さず地元の中で回転率を高められるかが重要。

金太郎:それ、リアルだなぁ。いま自分で小さい仕事を作るひとが増えているもんな。起業とかそういう限定的な話ではなく。

水戸部:そう、With Youの小林 俊介さんとかね。あーゆーふうに、自分のやりたいことで新しい仕事を作ってメシを食っていくひとが、どんどん増えていくことが必要だと思う。若者が新しい仕事を作れば、それがインパクトになって、また別の若者を感化する。そうやって寝ているヤツを起こしていければと思う。

金太郎:平成40年とか、あっという間にくるから廃炉までにやることやらないとやばいなぁ。人口が減って経済規模も、どんどん縮小していくのは避けられないからね。

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まちづくりファンドをつくる二宮金次郎

水戸部:柏崎のひとが、自分で仕事を作ることができるように、いま「まちづくりファンド」と作ろうとしているんだ。新しい取り組みを応援する資金だよ。昔のバブリーな時代はパトロンと呼ばれるようなひとがいて、おっきなお金をポンっと動かしていたけど、いまはそういうことできないからね。市民の小さい資金の積み重ねができるような、財源的なしくみ作りをしようとしている。

俺の20代のミッションは、まちづくり法人を運営することと市民活動センターを設立することだった。30代のミッションは、このまちづくりファンドを作ることなんだよ。

金太郎:20代のミッション、遂行してんじゃん!あいさを作ったし、「まちから」もオープンした!20代のミッション果たしたな!

水戸部:そうだね、30代のミッションもがんばるよ。市民が新しい仕事をつくるの応援していきたいね。新しいインパクトを与えられるひとを増やしたいんだ。

二宮金次郎を知っているよね?あの人も昔、同じことをしていたらしい。事業がうまくいかないひとにお金を貸してサポートして、黒字化したら、利子付きで返済させて、またそのお金をひとに貸す。人々の仕事を黒字化することをしていたんだって。

俺は二宮金次郎になりたい。柏崎の次の世代を担うニューリーダーが独立する過程で、俺がサポートできればと、思う。

金太郎:水戸部氏、かっこよすぎじゃない?

ことを成す時、半分は敵になる

水戸部:金太郎も次の世代を担う人間だから、全力でサポートするよ!金太郎がいま、集落の中で生き抜いていくためにしていること、俺は知ってるからね。頑張って欲しい。

一つアドバイスを。何かを成しとげようとすれば、半分は敵になるってこと。全員が「あなたの活動は素晴らしい、大賛成」というのは、宗教くらいだからね。

金太郎:おおっ!それリアル!最近、活動量が増えてきた私ですが、なんとなくそれは感じていました。ありがとう。

しかし、水戸部氏は、俺より年下なのになんでそんなことわかってるんだろー?

水戸部:さっきも言ったように、牙むいて戦ってきたからね。20代前半、激動だったから。磨り減ったね。呼び出しを受けては怒られて…。シャレにならんわね、生活が荒れちゃって。

ま、それはさておき。何かをしようとして、敵が出てきても大丈夫だよ。味方の方を向いて歩いていけば、生きていけるよ。

金太郎:ありがとう!水戸部氏の実績になれるよう、俺も頑張るわ!新しい仕事をつくる、成功事例のひとつになりたいね。

水戸部:我ら協力していこう!

金太郎:今日はどうもありがとうございました!この後…、行くっしょ?一杯ひっかけに。

水戸部:一杯と言わずに何杯でも!

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延長戦へ突入

酒が進みすぎて、メモもなければ記憶もありません。

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ほんと、こんな男と同時代におなじ所で活動できて、嬉しいです!何より友達でいられて嬉しい!

水戸部氏と大好きなまち、柏崎について対談できてよかったー!

 

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