タニグクの子守唄
小清水集落は連休明けに田植えが始まるようです。今はすっかり田植えの準備が整い、代かきを終えた田んぼに水が張ると、夜はカエルの大合唱。
近所のおばあちゃんは、このカエルの鳴き声が好きだそうで、「夜、布団に入って聞いているとグッスリ寝られるよ」と言います。
さて日本神話『古事記』にも、カエルが登場します。場面は国作り神話。
大国主神が出雲の御大の岬にいると、海の向こうから寄り来る神様がいた。名前を尋ねるが答えない。大国主神に従う諸々の神に尋ねるがだれも分からない。
その中でタニグク(カエル)だけが唯一、声を発した。「これは、カカシがその正体を知っているでしょう」と。
ただちに大国主神はカカシを呼んだ。この神の正体を尋ねたところカカシは「少名毘古那神(スクナビコナ)です」と答え、やっと寄り来る神の正体がわかった。
「タニグク」という名前の語源はタニ(谷)+クク(潜)。「国土の隅々まで知り尽くした」「物知り」な存在とされています。
当地は山あいの集落です。きっと人が住むずっと前から、この山あいの、奥まった土地にカエルはたくさんいたんでしょう。昔と今を結ぶカエルの鳴き声は、良い子守唄ですね。
それにしても…カエルの鳴き声が一斉にピタッと泣き止む瞬間があるじゃないですか。あれ、なんなんですかね。怖い笑