Chaos金太郎

移住10年目。新潟県柏崎の山間の集落を存続させるため活動中。

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農家が口下手なのは良いことなのか

      2015/10/04

5月25日の日本農業新聞に、周防大島へと集まる移住者についての記事があった。思想家・武道家の内田 樹氏が書いている。移住者はそれぞれ様々な業種についているが、農業に従事している若者は他の仕事の従事者と雰囲気が違うという。なぜ都会を離れ移住したのかを聞いても、返事が口下手であるとして、次のように述べている。

言葉がうまく出ないのは、毎日土に触れている自分の実感を載せるための適切な言葉をまだ見出せないでいるからだと私は思った。出来合いの言葉に載せて「わかったつもり」になられるくらいなら、むしろ黙っている方がいい。そういう「言葉に対する禁欲」を農業に従事する青年たちから私は感じた。

私が農業に転職する際、周りの人たちから農家の性格について言われたことがある。良く言えば「農家は、真面目で寡黙」、悪く言えば「農家は言葉が足りなくて我が強い」ということである。いざ働いてみると、確かに農業従事者は年齢に関係なく口下手が多いと思う。口下手の性格なんて簡単に変わらないだろうから、周防大島への移住就農者は、きっと何年何十年しても口下手なままなのだろう。土を触っていると言葉が出なくなっていくのか、もともと言葉が出ない人が農業を選ぶのか、どっちなのかはわからないが…。

言葉が足りなくて、情報を人に伝えられないということは、果たしてよいことなのだろうか。農作物をただただ作っているだけで、生活できた時代は終わった。現代は情報を発信しなければ、物を売ることはできない世の中だ。良い物でも、情報を伝えられなければ物は売れない。移住者となればなおさら情報発信をして生き残りを図っていかなければならないはずだ。たとえ言葉が適切でなくても、伝えようとする努力は必要だろう。「私は農家で土を触っているので、言葉はちょっと…」なんて態度では生き残っていけない。

と、ブログを二週間放置していた私が思ったわけですよ。

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